
屋根材の種類は数多くあり、それぞれ特徴や耐用年数、金額などが大きく異なります。
また、メンテナンス方法も屋根材によって変わってくるため、ご自宅で使用している屋根材について理解しておくことが大切です。
このページでは、屋根材の種類やメリット・デメリットなどについて紹介いたします。
目 次
屋根材の種類
屋根材の種類は大きく分けて「スレート系」「金属系」「セメント系」「日本瓦」「アスファルトシングル」の5種類あります。
現在よく使用されているのは、スレート系に分類される化粧スレートと呼ばれる種類です。また最近では、金属系のガルバリウム鋼板を採用するケースも増えてきています。
スレート系
化粧スレート
耐用年数:20~25年 価格:4,500~8,000円/㎡
化粧スレートとは、セメントに繊維質の材料を混ぜ合わせて作られた板状の屋根材です。「コロニアル」や「カラーベスト」と呼ばれることもあります。
他の屋根材に比べて耐久性は低いですが、安価で施工がしやすいため、現在最もよく使用されている屋根材になります。
【メリット】
・カラーバリエーションが豊富
・現在の主流なので施工できる業者が多い
・高価な商品もあるが、比較的安価
・軽量なので耐震性に優れている
・耐火性、断熱性が高い
【デメリット】
・衝撃に弱く、割れやすい
・人の重さや積雪などで割れることもあるので、雪が降る地域では施工が難しい
・コケや藻が生えやすい
【メンテナンス方法】
化粧スレートは約10年ごとに塗り替えが必要です。耐用年数を過ぎている場合は、劣化状況に応じてカバー工法または葺き替えによるメンテナンスを行います。
天然スレート
耐用年数:半永久的 価格:8,000~30,000円/㎡
天然スレートとは、粘板岩と呼ばれる石を板状にした屋根材のことです。人工的に作られた化粧スレートとは違い、天然石の美しさを楽しむことができます。
ただし、日本ではあまり普及しておらず、ほとんどが海外からの輸入品になります。
【メリット】
・品のある仕上がりになる
・耐久性、耐候性、断熱性に優れている
・基本的にはメンテナンスフリー
【デメリット】
・割れやすい
・価格が高い
・重量があるので耐震性が低い
【メンテナンス方法】
基本的にメンテナンスは不要です。ただし、割れやすいという欠点があるので定期的な点検は必要となります。
屋根材の割れや下地の劣化などが見られる場合は、補修や葺き替えを行います。
金属系
ガルバリウム鋼板
耐用年数:25~40年 価格:5,000~10,000円/㎡
ガルバリウム鋼板はアルミニウム、亜鉛、シリコンを組み合わせたもので銅板をメッキ加工した屋根材です。
現在の主流は化粧スレートですが、近年ではガルバリウム鋼板を使用するケースも増えてきています。また、軽量なので、カバー工法を行う際に用いられることも多いです。
【メリット】
・軽量なので建物への負担が少なく、耐震性に優れている
・他の金属屋根に比べて錆びにくい
・カラーバリエーションが豊富
・防水性、耐火性が高い
【デメリット】
・断熱性、防音性が低い
・薄い素材なので衝撃に弱く、へこみやすい
【メンテナンス方法】
15~20年を目安に塗装によるメンテナンスが必要です。耐用年数を過ぎている場合は、劣化状況に応じてカバー工法または葺き替えを行います。
銅板
耐用年数:50~60年 価格:18,000~20,000円/㎡
銅板は名前の通り、銅製の板を使用した屋根材で、古くから寺社仏閣や日本家屋などに用いられてきたものになります。
銅板の特徴は、銅が雨水によって酸化すると緑青(ろくしょう)と呼ばれるサビが発生することです。
サビではありますが、緑青が銅の表面を覆うことで内部にまでサビが進行するのを防げるので、銅の腐食を抑える効果があります。
【メリット】
・耐久性が高い
・軽量なので建物への負担が少なく、耐震性に優れている
・基本的にはメンテナンスフリー
・耐火性に優れている
【デメリット】
・価格が高い
・断熱性、防音性が低い
・施工できる業者が少ない
・酸性雨の影響で穴が開きやすい
【メンテナンス方法】
緑青によって銅板の耐久性を高めることができるので塗装は不要です。ただし、穴が開いてしまった場合は、カバー工法や葺き替えによるメンテナンスが必要になります。
トタン
耐用年数:10~20年 価格:5,000~6,000円/㎡
トタンとは、亜鉛で鉄板をメッキ加工した屋根材のことです。戦後から普及したものになるため、古い建物で使われていることが多いです。
現在では、トタンを使用した住宅は少なくなっています。
【メリット】
・価格が安い
・軽量なので建物への負担が少なく、耐震性に優れている
・継ぎ目が少ないので雨漏りしにくい
・施工がしやすく、工期も短く済む
【デメリット】
・耐久性が低い
・サビが発生しやすい
・断熱性、防音性が低い
【メンテナンス方法】
トタンは7~10年を目安に塗装が必要です。耐用年数が過ぎている場合は、状況に応じて、カバー工法または葺き替えによるメンテナンスを行います。
セメント系
厚形スレート瓦(プレスセメント瓦)
耐用年数:30~40年 価格:6,000~10,000円/㎡
厚形スレート瓦とは、セメント、砂利や砂、水を混ぜ合わせて作られたモルタルの瓦です。プレスセメント瓦と呼ばれることもあります。
ほとんどの厚形スレート瓦は塗料で着色されており、形状も様々なものがあるので、豊富なバリエーションの中から選ぶことができます。
【メリット】
・カラーバリエーションや形状が豊富
・耐熱性、防音性に優れている
・プレス加工なので品質のばらつきも少なく、施工がしやすい
・瓦1枚から交換が可能
【デメリット】
・重量があるので耐震性が低い
・塗り替えを怠ると割れやすくなる
・防水性が低く、コケやカビが生えやすい
【メンテナンス方法】
厚形スレート瓦は7~10年を目安に塗装が必要です。また、塗装をする際に漆喰の状態もチェックしておくことが大切です。
屋根材の耐用年数が過ぎていたり、下地の劣化が進行している場合は葺き替えによるメンテナンスを行います。厚形スレート瓦は重さがあるため、カバー工法は行えません。
コンクリート瓦(モニエル瓦)
耐用年数:30~40年 価格:6,000~8,000円/㎡
コンクリート瓦は、厚形スレート瓦と同じ原料で作られていますが、厚形スレート瓦に比べてセメントの量が少ない瓦になります。正式には「乾式コンクリート瓦」と言い、モニエル瓦と呼ばれることもあります。
また、コンクリート瓦の表面には、着色スラリーという着色剤を厚めに塗られており、このスラリー層によって防水性を高められるといった特徴もあります。
【メリット】
・カラーバリエーションが豊富
・耐熱性、防音性に優れている
・瓦1枚から交換が可能
【デメリット】
・重量があるので、耐震性が低い
・塗り替えを怠ると割れやすくなる
・コケやカビが生えやすい
【メンテナンス方法】
厚形スレート瓦と同じく、コンクリート瓦も7~10年を目安に塗装が必要です。また、定期的に漆喰の状態も確認する必要があります。
屋根材の耐用年数が過ぎていたり、下地の劣化が進行している場合は葺き替えによるメンテナンスを行います。コンクリート瓦は重さがあるため、カバー工法は行えません。
日本瓦
耐用年数:50~100年 価格:8,000~12,000円/㎡
日本瓦とは、粘土を瓦の形にして乾燥させ、高温で焼き上げて作られる瓦です。「粘土瓦」や「和瓦」とも呼ばれており、瓦の中では最も耐久性に優れています。
日本瓦の形状はJ形(和形)、F形(平形)、S形(スパニッシュ形)の3種類あり、さらに瓦の表面に釉薬を塗って焼き上げる「釉薬瓦」と、何も塗らずに焼き上げる「無釉薬瓦(いぶし瓦)」に分類されます。
【メリット】
・基本的にはメンテナンスフリー
・セメント瓦やコンクリート瓦に比べて割れにくい
・耐久性、断熱性、防水性に優れている
・瓦1枚から交換が可能
【デメリット】
・重量があるので、耐震性が低い
・暴風や漆喰の劣化によって、瓦が落下する危険性がある
・施工できる業者が少ない
【メンテナンス方法】
基本的にメンテナンスは不要ですが、漆喰は劣化していくので定期的な点検が必要です。
屋根材の耐用年数が過ぎていたり、下地の劣化が進行している場合は葺き替えによるメンテナンスを行います。日本瓦は重さがあるため、カバー工法は行えません。
アスファルトシングル
耐用年数:20~30年 価格:5,000~8,500円/㎡
アスファルトシングルとは、不燃布やガラス繊維を原料とした基板にアスファルトをコーティングし、さらにその上から細かい石粒や砂を施した屋根材です。
北米では古くから使用されており、アメリカで80%以上のシェアを誇る屋根材です。日本でも徐々に使用されることが増えてきています。
【メリット】
・軽量なので建物への負担が少なく、耐震性に優れている
・柔らかく加工がしやすいため、複雑な形状でも施工ができる
・割れやサビが発生することがない
・防水性、防音性が高い
【デメリット】
・強風で剥がれることがある
・耐火性が低い
・コケやカビが発生しやすい
・施工できる業者が少ない
【メンテナンス方法】
アスファルトシングルは7~10年を目安に塗装によるメンテナンスが必要です。耐用年数を過ぎている場合は、劣化状況に応じてカバー工法または葺き替えによるメンテナンスを行います。
塗装ができない屋根材「パミール」とは
パミールとは、ニチハ株式会社が1996年から2008年まで製造していた屋根材のことで、現在は製造中止となっている商品です。
パミールはアスベストを含まない屋根材として発売されましたが、施工後10年程で屋根材がボロボロになって剥がれてしまう不具合が発生したことにより、以来使用されることは無くなりました。
ただ、これに関しては、ニチハ株式会社側は素材の問題ではなく、経年劣化によるものだと主張しています。
パミールが塗装できない理由
パミールが塗装できない理由は、塗装をしても意味が無いからです。
もし塗装をしたとしても、塗膜と共に屋根材そのものが剥がれていくため、塗料本来の機能を発揮することができません。また、高圧洗浄の水圧でも屋根材が剥がれてしまうので、高圧洗浄も行えません。
パミールのメンテナンス方法は、カバー工法または葺き替えになります。
カバー工法とは、既存の屋根材の上から新しい屋根材を被せる方法で、葺き替えは既存の屋根材を撤去してから、新しい屋根材を取り付ける方法です。
まとめ
屋根材の種類は主に「スレート系」「金属系」「セメント系」「日本瓦」「アスファルトシングル」の6種類に分類されます。
現在よく使用されるのは、化粧スレートやガルバリウム鋼板と呼ばれる屋根材です。
素材によって耐用年数や費用などが異なり、デザインや雰囲気も大きく変わってきます。理想の屋根工事を行うためにも、それぞれの特徴やメンテナンス方法を理解しておくことが大切です。