アスファルトシングルは、不燃布やガラス繊維を原料とした基板にアスファルトを浸透させ、さらにその上から細かい石粒や砂を施した屋根材です。
北米では古くから使用されており、アメリカで80%以上のシェアを誇る屋根材です。日本でも徐々に使用されることが増えてきています。
このページでは、アスファルトシングル屋根の特徴やメンテナンス方法について紹介いたします。
目 次
アスファルトシングルとは
アスファルトシングルとは、ガラス繊維にアスファルトを浸透させたシート状の屋根材で、表面にはシートに傷がつかないよう着色された石粒や砂粒が吹き付けられています。
日本ではまだ馴染みの少ない屋根材ですが、100年以上前に北米で開発されてから、アメリカでは80%以上のシェアを占める定番の屋根材となっています。
アスファルトシングルは、シート状でカッターで切れるほど柔らかい素材なため扱いやすく、複雑な形状の屋根にも施工が可能です。
新設時のアスファルトシングルの価格と耐用年数
アスファルトシングルの価格は、1㎡あたり5,000円~8,500円が相場で、耐用年数は20~30年程度です。
また、アスファルトシングルは7~10年を目安に塗装によるメンテナンスが必要です。耐用年数を過ぎている場合は、劣化状況に応じてカバー工法または葺き替えによるメンテナンスをおこないます。
アスファルトシングル屋根のメリット
アスファルトシングルには他の屋根材に比べ以下のようなメリットがあります。
軽量で耐震性が高い
アスファルトシングルは、非常に軽量な屋根材のため、軽量なので建物への負担が少なく耐震性が高いという特徴があります。
重量は、スレート屋根の半分、瓦屋根だと1/4程度と非常に軽量なため、建物の重心が下に下がることで地震が発生しても建物の揺れを軽減することが可能です。
割れやサビが発生することがない
アスファルトシングルは、柔らかいシート状の屋根材のため、瓦やスレ―トのようにのような硬い屋根材のようにひび割れる心配がありません。また、金属も使われていないのでサビる心配もないので、非常に耐候性に優れた屋根材です。
防水性、防音性が高い
アスファルトシングルに施されている石粒や砂が、緩衝材となり雨音を分散することによって雨音が屋根裏や室内に響きにくいというメリットもあります。
また、アスファルトシングルには、仕上げ材に防水シートが使用されており、屋根材を固定する際にも釘やビスは使用せず専用の接着剤で固定するため、穴を開けない施工が可能なため、防水性にも優れています。
デザイン性が高い
アスファルトシングルは、軽量で加工しやすいので、複雑な形状の屋根でも施工ができます。
また、表面に吹き付けられた石粒の色によって、さまざまなカラーバリエーションがあり、和・洋どちらの住宅の雰囲気にも合わせやすいというメリットもあります。
アスファルトシングル屋根のデメリット
アスファルトシングルには、以下のようなデメリットも存在します。
断熱性が低い
アスファルトシングルは、薄いシート状の屋根材ですが、金属屋根のように断熱材一体型の商品がなく、瓦屋根のように空気層を設けて屋根材を葺くこともできないので、他の屋根材に比べ断熱性が低いという特徴があります。
強風に弱い
アスファルトシングルは、薄く軽量な屋根材のため強風に弱く、反りややぶれが起きる可能性があります。特に、山間部など風が強い地域に建物がある場合には注意が必要です。
石粒が落ちてくる
アスファルトシングルの表面に施された石粒や砂が、経年劣化によって接着力が弱まり屋根から落ちてしまうことがあります。
石粒が剝がれてしまうと見た目が悪くなるだけでなく、雨樋などに溜まち思わぬ二次被害が発生する恐れもありますので、定期的な点検やメンテナンスをおこなう必要があります。
施工できる業者が少ない
アスファルトシングルは、まだ日本では馴染みの少ない屋根材のため、他の屋根材に比べると施工経験のある業者が少ないというデメリットもあります。
アスファルトシングルの劣化症状
アスファルトシングルの代表的な劣化症状は以下の通りです。
塗膜の劣化
アスファルトシングルの表面は薄い塗膜で保護されていますが、塗膜が紫外線や雨風で経年劣化することによって、塗膜の色褪せやチョーキング、剥がれなどの症状が現れます。
症状が軽度であれば、直ちにメンテナンスが必要というわけではありませんが、防水効果が低下してきている状態なので、早めに塗り替えをおこなうことが大切です。
剥がれや浮き
アスファルトシングルは、専用の接着剤で固定しています。そのため、経年劣化によって接着力が低下することによって、アスファルトシングルが浮いたり剥がれてしまうことがあります。
また、剥がれや浮きをそのまま放置してしまうと、強風や台風で千切れたり、飛んでいってしまう恐れもありますので、剥がれや浮きの症状がみられる場合には早急なメンテナンスが必要です。
コケや藻、カビの発生
アスファルトシングルは、表面が凸凹のあるザラザラとした仕上がりになっているため、雨水が流れにくく、凹凸に雨水が滞留しやすいという特徴があります。
その屋根に溜まった水分が原因となり、コケや藻、カビが発生してしまうことがあります。高圧洗浄で取り除くことは可能ですが、屋根材を傷めてしまう可能性もあるので、ご自分ではおこなわずに業者へ依頼されることをおすすめします。
アスファルトシングル屋根のメンテナンス方法と費用
アスファルトシングル屋根は、定期的なメンテナンスが必要です。陸屋根の修理やリフォーム方法は以下の3つの方法があり、ご予算や劣化状況によってメンテナンスの方法は異なります。
部分補修
アスファルトシングルが剥がれていたり、浮いている場合は部分的な補修で対応が可能です。アスファルトシングルの剥がれた周辺を清掃し、剥がれや浮きのある部分を専用の接着剤で貼り合わせて補修します。
剥がれ・浮きの補修費用は劣化範囲にもよりますが、1万円~5万円が相場となっています。
塗装
塗膜の劣化やコケ・カビの発生などの軽度な劣化であれば、塗り替えによる対応が可能です。7~10年を目安に塗り替えによるメンテナンスをするようにしましょう。
塗り替えの際には、必ず水性の塗料で塗装をおこなう必要があります。理由としては、油性塗料を使うと、アスファルトの成分が抜け出し、美観性と耐久性が損なわれてしまう原因となるためです。
アスファルトシングルの塗装にかかる費用は、一般的な戸建て住宅の場合で40万円~60万円が相場となっています。
カバー工法
下地の傷みが少ない場合には、カバー工法によるメンテナンスが可能です。カバー工法は、既存のアスファルトシングルの上から、新しい防水シートと屋根材を被せる方法です。
アスファルトシングルの劣化が激しく剥がれや浮きが広範囲に及んでいる場合や、屋根材の耐用年数を迎えている際はカバー工法をおこないます。
カバー工法にかかる費用は、100万円~150万円が相場となります。
葺き替え
雨漏りが発生していたり、下地の劣化が著しい場合などカバー工法で対応できない場合には、今までの屋根材を全て撤去し、新しい屋根材で葺き替えをおこないます。
施工の流れとしては、既存のアスファルトシングルを全て撤去してから、新しい防水シートとアスファルトシングルを敷き、棟部部品を設置します。
葺き替えにかかる費用は、140万円~180万円程が相場です。