ドーマーは、洋風住宅でよく見られる、屋根から突き出した小さな屋根付きの窓のことで、主に採光や通気性を目的として設置されます。
ヨーロッパ建築によくみられる形のため、最近では採光目的だけではなく、外観デザインのアクセントとして屋根に設置する方も増えています。
このページでは、ドーマーの役割やメリット・デメリットについて説明いたします。
ドーマーとは
ドーマー(domer)とは、主にロフトなどの屋根裏部屋への採光を目的として設置される窓や屋根のことを指します。
ドーマーは、屋根にはめ込む天窓とは違い、屋根から突き出すように切り妻や片流れ屋根の小屋根の形状をしているのが特徴で、ドーマーウインドウや屋根窓とも呼ばれています。
ヨーロッパ建築によくみられる形のため、最近は採光目的だけではなく、ヨーロッパ調のデザイン用パーツとしても人気となっています。
ドーマーの種類
ドーマーには、主に3種類の形状があります。それぞれの特徴は以下の通りです。
ゲーブルドーマー
ゲーブルドーマーは、屋根の上に切妻の小さな家が載っているような形状をしています。主に、採光や通気を目的として設置されますが、それ以外に屋根裏の空間を広げるという役割もあります。
ただ、三角屋根になっているため、シェッドドーマーに比べると広げられる空間体積は小さくなります。
ピークドーマー
ピークドーマーは、ゲーブルドーマーと同様に三角屋根の形状をしたドーマーですが、屋根が本体の屋根面にそのまま繋がった構造になっているのが特徴です。
屋根の傾斜が大きい分、屋根裏にできる空間はピークドーマーよりも小さい場合が多いため、空間を広げるというよりも採光や通気、屋根デザインのアクセントという目的で設置されることが多い傾向があります。
シェッドドーマー
シェッドドーマーは、屋根の一部を持ち上げたような片流れの形状をしたドーマーです。3種類の形状の中では天井高を確保して、最も広い空間を広げることができるという特徴があります。
ドーマーの役割とメリット
ドーマーには、主に4つの役割があります。設置するメリットは以下の通りです。
採光
ドーマーには、室内に光を取り込むという役割があります。一番日当たりの良い屋根の中央部に窓を設置するため、小さな窓でも広範囲に射光が広がり、室内へ大量の光を届けることができます。
天気のいい日なら、日中は照明をつけなくてもよいほどたっぷりと光を取り入れられますので、電気代の節約にも繋がります。
通気性
開閉が可能なドーマーの場合には、部屋の通気性を高めるという役割もあります。
屋根裏は、熱気や湿気がたまりやすい場所なので、空気が通りにくい状態ではカビが発生して木材が腐食したり、健康被害を引き起こす原因にもなってしまいます。
そのため、開閉可能なドーマーを通気口として利用することで、カビによるトラブルを予防できます。また、室内の風通しが良くなることで、室内の熱気を外に逃がすこともできます。
居住区の拡張
ドーマーを設置することで、本来デッドスペースとなっていた屋根裏を居住空間に変えることができるというメリットがあります。
家の面積が狭いなどの場合でも、ドーマーを設置することによってスペースを有効活用することができます。
デザイン性
平面の屋根にドーマーを設置することによって、立体感が生まれ住宅全体のデザイン性を高めることができるというメリットもあります。ヨーロッパでは伝統的なデザインのため、特に洋風の住宅に適しています。
ドーマーのデメリット
ドーマーには、採光や通気など様々なメリットがありますが、設置する場合には気を付けなければいけない点もあります。ドーマーを設置する場合のデメリットや注意点は以下の通りです。
雨漏りのリスクが高まる
屋根の垂木を切断して設置するため、屋根の形状が複雑になり雨水が溜まりやすくなります。そのため、ドーマー周辺の防水処理をしっかりと行い、雨水の浸入を防ぐ必要があります。
経年劣化などによって防水処理に不具合が生じ、雨漏りが発生する場合もありますので、定期的に点検やメンテナンスを行うようにしましょう。
掃除・手入れが難しい
ドーマーは天井近くに設置されているため、掃除や手入れが難しいというデメリットもあります。掃除のために梯子や脚立を用意しなければならないため、不便に感じる人も少なくありません。
メンテナンス費用が高額になるケースもある
ドーマーを設置することによって屋根の構造が複雑になってしまい、ドーマー自体を施工している業者も多くないため、修理費用が高くなってしまうこともあります。
構造次第では業者に工事を断られるケースもあるので、ドーマーの設置を検討されている場合には、長期的な視点に立ってメンテナンスなどにかかる費用を概算しておくことをおすすめします。
太陽光パネルの設置が難しい
太陽光パネルをドーマーの上に設置することはできません。屋根の平面部分だけに太陽光パネルを設置することは可能ですが、設置するパネルの枚数が少なくなってしまうため、費用のわりに十分に太陽光を吸収できません。
余程広い屋根で無い限り太陽光パネルの設置は難しくなりますので、ドーマーと太陽光パネルをどちらも設置したいという場合は、事前に専門業者へ相談しておきましょう。
室内が暑くなる
ドーマーを設置することによって日差しが入りやすくなる分、室内の温度が上がりやすくなってしまいます。屋根の熱がそのまま入ってきますので、特に風がなく暑い日は換気をしても室内の温度が上昇しやすくなります。
そのため、断熱性が高い窓ガラスを選択したり、窓ガラスに断熱フィルムを貼るなどの対策が必要になるケースもあります。
火災保険を使ってドーマーを修理できる?
ドーマーの劣化原因や加入されている火災保険の内容など一定の条件を満たしていれば、火災保険を利用して修理費用を賄うことも可能です。
ドーマーは屋根から一部突き出ているため、風や雨の被害を受けやすく、雨漏りのリスクが非常に高い場所です。
ドーマーの破損が風災被害として認められれば、火災保険が使える可能性がありますので、もしもの時に備えて、ドーマーを設置する前に加入されている火災保険の内容を見直しておきましょう。
まとめ
デザインや魅力的な機能を備えているドーマーですが、太陽光パネルとの相性が良くなかったり、風や雨の被害を受けやすいというデメリットもありますので、設置を検討する際にはその点に注意をしながら検討するようにしましょう。
採光や通気ということであれば他にも天窓やハイサイドライトなどを設けるといった方法もありますので、そちらもぜひ検討してみて下さい。