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ガルバリウム鋼板屋根の特徴と修理・交換費用

ガルバリウム鋼板は、金属系の屋根材の中でも耐久性が高く、デザインも豊富なため、戸建て住宅のリフォームでは、非常に人気の高い屋根材です。

ただ、メリットだけではなく、いくつかのデメリットもありますので、リフォームをお考えの際には、ガルバリウム鋼板の特徴や注意点を事前に把握しておく必要があります。

このページでは、ガルバリウム鋼板屋根の特徴やメンテナンス方法について紹介いたします。

ガルバリウム鋼板とは


ガルバリウム鋼板は、鉄の鋼板をガルバリウムという合金でメッキ処理した金属製の板です。JIS規格におけるガルバリウム鋼板の正式名称は「55%アルミ・亜鉛合金メッキ鋼板」となっています。

それまで主流となっていたトタン屋根は、酸性・アルカリ性に弱く耐用年数が低い素材でしたが、トタンにアルミの耐食性が加わることで、トタン板より錆びにくく高い耐久性を備えています。

ガルバリウム鋼板は、1972年にアメリカで開発され、国内では、1982年に大同鋼板(現:日鉄鋼板)において、ガルバリウム鋼板が国内で初めて商用生産されました。

2017年には、これまでは新築で使用される屋根材で、圧倒的なシェア率を誇っていたスレート屋根を抑えて、ガルバリウム鋼板が国内シェア1位を獲得しています。

ガルバリウム鋼板の種類

ガルバリウム鋼板の葺き方はいくつかありますが、代表的な3つの工法について紹介いたします。

横葺き

横葺きは、ガルバリウム鋼板を地面と水平方向に葺く工法です。デザイン性に優れていることからもっとも人気の高い工法ですが、屋根の勾配が緩い場合は適さない場合もあるので注意が必要です。

また、横葺きの場合メーカー製造品である場合が多いです。その場合、金属建材メーカーが10年から25年の穴あき保証などの製品保証をもうけられていますが、製品の保証期間や内容はメーカーによって全く違いますので、保証内容はカタログやメーカーに問い合わせて確認するようにしましょう。

縦葺き

縦葺きは、地面に向かって垂直に葺く工法で、シンプルな見た目が特徴です。また、横葺きに比べ雨水が流れやすいので、勾配が緩い屋根に適しています。

また、縦葺きの場合、板金工事会社が鋼板を仕入れ、自社加工して屋根に設置していきますので、メーカーの製造品ではないことがほとんどで、その場合は製品保証が発行されないことが多いので注意が必要です。

瓦調葺き

瓦調葺きは、横葺きと同様に地面と水平方向に葺く工法ですが、瓦状のガルバリウム鋼板を使用するのが特徴です。瓦と遜色ない仕上がりになるため、和風の建物や屋根に重厚感を出したい方にはおすすめです。

瓦はメンテナンス頻度が少なく耐久性が非常に高い屋根材ですが、重量があるというデメリットがあります。。そのため、

ただ、他の工法に比べ形状が複雑になるため、費用も高価になりますので注意が必要です。瓦状のガルバリウム鋼板を使うことで、瓦を使った屋根でも耐震性をアップさせることが可能です。

ガルバリウム鋼板のメリット

ガルバリウム鋼板は、多彩なメリットを兼ね備えた屋根材ですが、その中でも代表的なメリットを4つ紹介いたします。

耐震性に優れている


ガルバリウム鋼板は、厚さが0.27mm〜1.2mm程度と非常に薄く、重さもスレートの1/5、日本瓦の1/8ほどと非常に軽量な屋根材です。そのため、建物の重心が下がり、地震が発生しても揺れが少なく、耐震性に非常に優れているという特徴があります。

また、ガルバリウム鋼板は、非常に軽量なため既存の屋根材に新しい屋根を重ねるカバー工法にも適した屋根材です。

サビにくい


ガルバリウム鋼板は、耐久性が高くサビにくいという特徴があり、トタンと比べると4倍錆びにくいと言われます。そのため、メンテナンスや葺き替え工事の頻度が少なくて済むので、リフォーム時にガルバリウム鋼板に変更するケースも多くあります。

ただ、全くサビないというわけではないので、定期的にメンテナンスは必要です。

カラーバリエーションが豊富


ガルバリウム鋼板は、表面に塗装が施されているため、製品によってシンプルなデザインから独特の質感や模様を持つものなどバリエーションが豊富なこともメリットとして挙げられます。

屋根の質感や色を変えると外観の印象を大きく変えることができるので、外観をイメージチェンジしたいという場合は外壁の色とのバランスを見ながら今とは違う色を選ぶといった方法もおすすめです。

防水性、耐熱性が高い


ガルバリウム鋼板は、金属素材のため水が染み込むことがほぼありません。そのため、スレートやセメント系の屋根材につきものの苔やカビ汚れが付きにくいというメリットがあります。また、表面が滑らかで水はけがいいので緩勾配でも施工ができ、最小で0.5寸(約3度)から施工が可能です。

さらにガルバリウム鋼板には、熱に強いアルミニウムが多く含まれるため、従来の亜鉛鉄板に比べて耐熱性に優れているというメリットもあります。

ガルバリウム鋼板のデメリット

ガルバリウム鋼板は、耐久性や耐震性に優れた屋根材ですが、いくつかデメリットもあります。ガルバリウム鋼板のデメリットは、主に以下の3つです。

断熱性、防音性が低い


ガルバリウム鋼板は、熱に強く燃えにくいというメリットがありますが、金属素材のため熱を伝えやすいというデメリットがあります。

また、非常に薄い素材なため素材単体で使うと雨音が室内に伝わりやすく、瓦やスレートと比べるとどうしても防音性の面で劣ってしまうというデメリットがあります。

ただ、現在のガルバリウム鋼板は、鋼板の裏側に断熱材を貼り付けた「断熱材一体型」が主流となっているため、従来の問題点であった断熱性や防音性は大幅に改善され、断熱性や防音性は、他の屋根材や外壁材と同等程度はそれよりも優れているといわれています。

薄い素材なので衝撃に弱く、へこみやすい


ガルバリウム鋼板は、薄く軽量な屋根材のため、外部からの衝撃に弱く変形したり穴が開いてしまうことがあります。

台風などの強風によって飛来物が屋根にぶつかり、塗装が剥がれたり穴が開いた場合は、その部分からサビが進行していきますので、すぐに補修が必要となります。

このようなへこみが心配な方は、厚さ.35mm以上のガルバリウム鋼板や断熱材一体型商品を選ぶことをおすすめします。

周囲の環境の影響を受ける


ガルバリウム鋼板は、金属素材のため沿岸地域の潮風や工場の排気ガス、森林など樹木や落ち葉の影響を受けることがあります。

ガルバリウム鋼板に、潮風や排気ガス、落ち葉などが触れると電食を引き起こし錆びる原因となりますので、このような影響を受ける環境では、点検をこまめに行いメンテナンスの頻度を高める必要があります。

ガルバリウム鋼板の価格と耐用年数

ガルバリウム鋼板の価格は、1㎡あたり5,000~10,000円程度が相場で、耐用年数は30〜40年程度です。

ガルバリウム鋼板のサビや塗膜の劣化を防ぐためには、定期的な塗り替えが必要です。 一般的に10年程度が塗り替えの目安となりますが、色あせや塗膜剥がれなどがある場合は年数に関わらず早めに塗装を行うようにしましょう。

また、ガルバリウム鋼板屋根では、定期的に屋根にのぼって屋根の状態を確認するようにしましょう。屋根にのぼってメンテナンスをおこなうことが難しい場合には、業者へ依頼しドローンを用いて空撮をしたりして屋根の状態を確認する方法もあります。

屋根に異物があったり、庭木が付着している場合には、電蝕を防ぐために付着した異物などを取り除いてください。

ガルバリウム鋼板の劣化症状

ガルバリウム鋼板の代表的な劣化症状は以下の通りです。

塗膜の劣化

多くのガルバリウム鋼板の表面は、フッ素塗装が標準になっているため、非常に強い塗膜を有しています。しかし、経年劣化や温度の変化によって色褪せやチョーキング、塗膜の剥がれなどが起こります。塗膜が劣化することで防水機能が低下し、サビが発生する恐れがあるので注意が必要です。

塗膜が劣化している場合は、早めに塗り替えを行い表面を塗膜で保護することが大切です。

サビ

ガルバリウム鋼板はサビにくい素材ではありますが、絶対にサビないというわけではありません。サビにはいくつかの種類がありますが、ガルバリウム鋼板で発生するのは「赤サビ」と「白サビ」です。

また、サビを発生させる原因となる「電蝕」には、とくに注意が必要です。

・赤サビ
赤サビは、ガルバリウム鋼板の表面に傷や凹みが生じることで発生します。赤サビが発生すると、サビが徐々に広がり、腐食が進むと穴が開きやすくなってしまいます。

そのまま放置してしまうと、開いた穴から雨水が入り込み、雨漏りの原因になりますので、赤錆を見つけたら早急に補修作業が必要です。

・白サビ
白サビは、亜鉛がガルバリウム鋼板のメッキ層に含まれる亜鉛が酸化することによって発生します。

表面に白い斑点が現れるのが特徴で、屋根の見た目は悪くなりますが、赤サビのような重大な影響を及ぼす症状ではありませんのでご安心ください。

・電蝕
電蝕とは、異なる金属が接触した時に、電気化学作用によって起こる腐食症状のことです。特にステンレスや銅と相性が悪いため、ステンレス釘や防腐・防蟻処理された銅を含んだ木材などが長期間接触しないように注意しましょう。

また金属ではありませんが、落ち葉や木片との接触でも電食が起こる場合もあるので、樋が落ち葉で詰まるような建物では、定期的な清掃を行うなど注意を払う必要があります。

変形・浮き

ガルバリウム鋼板は、薄く軽量な屋根材のため、飛来物が原因で変形したり、歪んでしまう可能性があります。飛来物によって、表面を保護している塗膜が傷つくと、塗膜の剥がれやサビにつながる恐れがあるので注意が必要です。

また、変形によって隙間が生じたり、ガルバリウム鋼板が浮いている場合には、その部分から雨水が入り込む恐れがあるので、早急なメンテナンスが必要です。

ガルバリウム鋼板のメンテナンス方法と費用

ガルバリウム鋼板屋根は、定期的なメンテナンスが必要です。ガルバリウム鋼板屋根のメンテナンス方法には、以下の4つの方法があります。

水洗い

屋根には、ほこりや土汚れなどの汚れが付着していきます。そのれを長期間放置しておくと、錆などの劣化の原因になるので定期的に洗浄する必要があります。3ヶ月〜1年を目安にホースで建物全体を洗い流しましょう。汚れが落ちない部分は、中性洗剤で軽くこすると落ちやすくなります。

水洗いを行う際には、高圧洗浄や固いブラシを使い強く擦ってしまうと、ガルバリウム鋼板がへこんだり、塗膜を傷つける可能性があるので、ご家庭にあるホースを使うことをおすすめします。

沿岸地域や酸性雨が降る地域の場合は、1~3ヶ月程度を目安に水洗いを行うのがおすすめです。

塗装

色あせやチョーキングなどの塗膜劣化やサビの状態が軽度であれば、、塗装によるメンテナンスが可能です。ガルバリウム鋼板の塗装は、10〜20年程度を目安として塗り替えが必要になりますが、ガルバリウム鋼板の塗り替えは非常に難しく、高度な技術が必要となります。

塗装を行う際には、ケレンで屋根表面の旧塗膜やサビなどを綺麗に除去してから、錆止めを塗布し、中塗り・上塗り塗装を行います。

塗装の費用は、使用する塗料のグレードや製品によって金額は異なりますが、一般的な戸建て住宅の場合40万円~80万円程が相場となります。

カバー工法

カバー工法とは、既存の屋根の上に新しい屋根材を被せる工法です。カバー工法では、これまでのガルバリウム鋼板屋根の上に防水シートを敷いてから、新しい金属屋根材を被せます。

カバー工法の費用は、80万円~150万円程が相場となります。古い屋根材を撤去する必要がないので、葺き替えに比べ費用を抑えてリフォームすることができます。

葺き替え

葺き替えとは、既存の屋根を全てはがし、新しい防水シートや屋根材に葺き替える工法です。

雨漏りをしていたり、下地の劣化が激しい場合は葺き替えで対応します。また、一度カバー工法をしている屋根では、再度カバー工法を行うことができないため、この場合も葺き替えによるリフォームが必要となります。

葺き替えの費用は、140万円〜200万円程が相場となります。古い屋根材を撤去する必要があるので、工事費や処分費用がかかるので、カバー工法に比べると費用は高額になります。

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