カバー工法とは、既存の屋根材を撤去せずに、そのまま上から新しい屋根材を被せる施工方法です。「重ね葺き」と言われることもあります。
カバー工法で使用する新たな屋根材は、軽量なガルバリウム鋼板やアスファルトシングルなどを採用するのが一般的です。
屋根のカバー工法の費用はおおよそ12,000円~/m2です。
屋根のカバー工法の費用
屋根カバー工法の費用は、おおよそ12,000円~/m2
※足場が代別途かかります
カバー工法のメリット
カバー工法は、既存の屋根材を撤去する必要がないので工期が短く済み、撤去費用や廃材処分費も抑えられるメリットがあります。さらに、屋根材が2枚重なった状態になるため、断熱性や防音性、防水性の向上が期待できます。
その他に、葺き替えと比べて騒音が少ないことやアスベストが含まれている屋根材の場合でも対応できるといった点がメリットとして挙げられます。
カバー工法のデメリット
カバー工法のデメリットは、屋根の重量が増えることによって耐震性に影響が出てしまう場合がある点です。また、凹凸が多い屋根材やある屋根材は、上に新しい屋根材を固定するのが難しいため、屋根瓦には不向きな工法と言えます。
注意点として、火災保険を利用したい場合、カバー工法では申請が通らない可能性があります。さらに一度カバー工法を行うと、その後も火災保険を利用できなくなることもあるため、事前に保険会社に確認しておくことが大切です。
屋根材の種類と耐用年数
屋根材の種類は数多くあり、現在戸建て住宅でよく使用されている屋根材はスレート屋根と呼ばれるものです。「カラーベスト」や「コロニアル」などと言われることもありますが、これらは商品名になります。
以下は、一般的に使用されることが多い屋根材の種類とそれぞれの耐用年数です。
耐用年数が過ぎると塗装しても不具合が発生する可能性があるため、基本的には耐用年数を迎える屋根材は、カバー工法または葺き替えによるメンテナンスが必要です。
スレート | 15~25年 |
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ガルバリウム鋼板 | 20~30年 |
トタン | 10~20年 |
アスファルトシングル | 20~30年 |
カバー工法が必要な劣化症状
屋根材の劣化が激しく、塗り替えでは対応しきれない時や雨漏りが発生している場合は、カバー工法によるメンテナンスが有効です。
カバー工法の場合、既存の屋根材の上に防水シートを敷いてから新たな屋根材を被せるので、雨漏りを改善することができます。
ただし、雨漏りが進行して下地にまでダメージが及んでいたり、既存の屋根材の強度が低下している状況ではカバー工法による施工が難しいため、その場合は屋根の葺き替えを行うことになります。
カバー工法の流れ
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1.既存役物撤去
新しい屋根材を乗せるため、既存の屋根材を撤去します。
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2.アスファルトルーフィング貼り
既存の屋根材の上に、アスファルトルーフィングを増張りします。
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3.役物取り付け
外壁取り合いの雨押え板金、ケラバ、軒先水切り、棟板金下地貫板を取り付けます。
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4.本体取り付け・雪止め取り付け
屋根材本体取り付け及び雪止めの取り付けをします。雪止めとは、落雪防止の目的のために軒先に取り付ける金具のことです。
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5.棟板金・換気棟取り付け
屋根裏の熱・湿気を外に排出する部材です。
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6.完成