屋根工事と聞いて、具体的に工事の内容をイメージできる方は少ないのではないでしょうか。
屋根工事には、屋根全体をメンテナンスする工事や部分的に修理・交換する工事なども含めて主に6種類あります。
屋根は雨漏りを防いで建物を守る非常に重要な役割がありますので、工事内容についても知っておくと安心です。
このページでは、屋根工事の種類やそれぞれの費用などを説明いたします。
屋根工事は6種類ある
屋根工事の種類は、主に以下の6種類あります。
■屋根塗装
■屋根カバー工法
■屋根葺き替え
■棟板金の修理・交換工事
■漆喰の修理・交換工事
■雨樋・軒樋の交換工事
それぞれ工事の目的や費用などが大きく異なるため、屋根の劣化状況や屋根材の種類などを考慮し、最適な方法を選ぶことが大切です。
屋根塗装
工事内容
屋根塗装とは、屋根材の表面に施されている塗装を新たに塗り替える工事のことです。
屋根塗装には美観の向上だけではなく、屋根材を保護する効果もあります。
そのため、屋根材の劣化を抑えるためにも、まずは定期的な塗り替えが大切です。
塗装を行う時期
塗り替えを行う時期は塗料のグレードによっても異なりますが、7~15年程度が目安です。
屋根の劣化状況が激しく、屋根材や下地にまでダメージが及んでいる場合は塗装だけでは対応できないため、カバー工法や葺き替えを行うことになります。
作業工程
屋根塗装の大まかな作業の流れは以下の通りです。
1.足場設置
2.高圧洗浄
3.下地処理
4.養生
5.下塗り(塗装1回目)
6.中塗り(塗装2回目)
7.上塗り(塗装3回目)
工期
一般的な戸建て住宅の屋根塗装を行う際の工期は、10~15日程度です。
費用
屋根塗装の単価は、3回塗りで㎡あたり2,400~4,500円が相場です。費用は塗料のグレードや使用する商品によって変動します。
縁切りの必要性
スレート屋根を塗装する場合、縁切りと呼ばれる作業を行う必要があります。
通常、スレート屋根に塗装をすると屋根材と屋根材の間に塗料が入り込み、屋根材同士の隙間を塞いでしまいます。縁切りは、この隙間が塞がらないようにする作業のことです。
縁切りを怠ると、屋根材内部に浸入した雨水が外に排水できずに滞水し、最終的に雨漏りの発生に繋がってしまいます。
屋根カバー工法
工事内容
カバー工法とは、既存の屋根を撤去せずに、屋根の上からさらに新たな屋根材を取り付ける工事のことです。
新たに被せる屋根材は、ガルバリウム鋼板やアスファルトシングルなど、比較的軽量なものを使用します。
既存の屋根を撤去しないので費用を抑えつつ、屋根材を一新することができます。さらに、屋根材が2枚重なった状態になるのため、防音性や断熱性が高まると言われています。
ただし、屋根の重量が増えることにより、建物の耐震性に影響が出る可能性もあります。
また、既存の屋根材や下地に問題がある状態でカバー工法を行うと、腐食やカビなどの劣化がさらに進行して、建物全体にダメージを与えてしまう恐れがあります。
そのため、カバー工法を行う場合は事前の調査が非常に重要です。
カバー工法を行う時期
カバー工法を行う時期は、20~30年程度が目安です。既存の屋根材の種類によって時期は異なりますので、屋根材の耐用年数を確認しておくようにしましょう。
作業工程
カバー工法の大まかな作業の流れは以下の通りです。
1.足場設置
2.高圧洗浄
3.棟板金・貫板撤去
4.防水シート(ルーフィング)を張る
5.新しい屋根材を取り付ける
6.貫板・棟板金を取り付ける
7.板金の継ぎ目をコーキングを充填する
工期
一般的な戸建て住宅でカバー工法を行う場合の工期は、6~8日程度です。
費用
カバー工法の単価は、㎡あたり12,000円~です。
屋根葺き替え
工事内容
葺き替えとは、既存の屋根材を全て撤去してから、新しい屋根材を取り付ける工事です。
一度屋根材を撤去するので、下地である防水シートや野地板も新たに交換することが可能になり、劣化や雨漏りなどの症状を根本的に解決できるメリットがあります。
また、カバー工法の場合は使用できる屋根材に限りがありますが、葺き替えは様々な種類の屋根材の中から選ぶことができるため、好みのデザインや雰囲気に変えることもできます。
ただ、大規模な工事になるので工期が長く、費用も屋根工事の中では最も高額です。
葺き替えを行う時期
葺き替えを行う時期は既存の屋根材の種類によって異なりますが、20~30年程度が目安です。
屋根材の耐用年数が経過しており、さらに下地の状態が悪くカバー工法で対応できない場合は、葺き替えを行うことになります。
作業工程
葺き替えの大まかな作業の流れは以下の通りです。
1.足場設置
2.既存の屋根材を撤去
3.防水シート・野地板を剥がす
4.新しい野地板を取り付ける
5.新しい防水シートを敷く
6.新しい屋根材を取り付ける
7.新しい棟板金を取り付ける
工期
一般的な戸建て住宅の葺き替えを行う場合の工期は、7~10日程度です。
費用
葺き替えの単価は㎡あたり12,000円~で、さらにプラスで廃材処分費が20万円程かかります。
※アスベストが含まれている場合は別途料金
棟板金の交換工事
工事内容
棟板金の交換工事は、既存の棟板金を撤去してから新しいものを取り付ける工事のことです。
また棟板金とは、スレート屋根や金属屋根の一番高い位置に取り付けてある金属製の部材を指します。
棟板金には、雨水が屋根内部に浸入するのを防ぐ役割があり、棟板金や棟板金を固定している釘が劣化すると雨漏りの原因になってしまいます。そのため、定期的なメンテナンスが大切です。
棟板金の交換を行う時期
棟板金に使用されている素材は、ガルバリウム鋼板と呼ばれる金属製のものが現在の主流で、耐用年数は15年前後です。
ただし、棟板金を固定している釘が棟板金の耐用年数よりも早く抜けてしまう場合があるので、実際には7~10年を目安にメンテナンスする必要があります。
作業工程
棟板金の交換工事を行う際の大まかな作業の流れは以下の通りです。
1.棟板金・貫板撤去
2.新しい貫板を取り付ける
3.新しい棟板金を取り付ける
4.板金同士の隙間をコーキングで埋める
工期
一般的な戸建て住宅の棟板金を交換する際の工期は、2~4日程度です。
費用
棟板金を交換費用は、足場無しで20~30万円が相場です。
※別途、足場代が必要になる場合もあり
漆喰の修理・交換工事
工事内容
漆喰の修理・交換工事は劣化した漆喰を剥がし、新たに施工し直す工事のことです。
瓦屋根の場合は漆喰が施されており、この漆喰には下地に瓦を固定させる接着剤のような役割があります。
瓦の種類によっては耐用年数が50年以上の物もありますが、漆喰は月日の経過とともに欠けや剥がれなどが見られるようになるため、定期的なメンテナンスが必要となります。
漆喰の修理・交換を行う時期
漆喰の修理・交換を行う時期は、15~20年程度が目安です。
作業工程
漆喰の修理・交換を行う際の大まかな作業の流れは以下の通りです。
1.既存の漆喰を剥がす
2.新しい漆喰を塗布
工期
一般的な戸建て住宅で屋根の漆喰を修理・交換する時の工期は、2~4日程度です。
費用
漆喰の修理・交換にかかる費用は、足場無しで10~20万円程です。
※別途、足場代が必要になる場合もあり
雨樋・軒樋の交換工事
工事内容
雨樋・軒樋の交換工事とは、雨樋の詰まりを直したり、破損した雨樋・軒樋を交換する工事などのことです。
雨樋・軒樋には、屋根に降った雨が外壁に伝わらないようにする役割があります。
もし雨樋・軒樋の詰まりや破損を放置していると、正しく雨水が流れて行かず、雨水が外壁を伝って建物内部に浸入してしまいます。
雨樋・軒樋の交換を行う時期
雨樋・軒樋の交換を行う時期は、10~15年程度が目安です。
作業工程
雨樋・軒樋の交換を行う際の大まかな作業の流れは以下の通りです。
1.既存の雨樋・軒樋、金具を撤去
2.金具を外した部分に空いている穴をコーキングで埋める
3.新しい雨樋・軒樋、金具を取り付ける
工期
一般的な戸建て住宅の雨樋・軒樋の交換するときの工期は、1~3日程度です。
費用
雨樋・軒樋の交換にかかる費用は10~30万円です。部分補修、一部のみの交換だと数千円~1万円程度になります。
まとめ
屋根工事の種類は、屋根全体をメンテナンスする「屋根塗装」「屋根カバー工法」「屋根の葺き替え」の他に、部分的に修理・交換する「棟板金交換」「漆喰修理・交換」「雨樋修理・交換」の計6種類あります。
ただ、必要となる工事やメンテナンス時期などを判断するのは難しいかと思いますので、まずは専門の業者に状況を確認してもらうと安心です。
屋根の劣化や破損を放置していると雨漏りに繋がるリスクが非常に高くなるため、定期的にメンテナンスをして大切なお家を守りましょう。