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縁切り・タスペーサーとは?役割や不要なケース

縁切りは、スレート屋根の塗装では欠かせない重要な作業の一つです。縁切りによって屋根材と屋根材の間に隙間をあけることで、水はけをよくして雨漏りを防いだり、屋根内部の結露を防ぐという役割があります。

また、縁切りには、縁切り工法とタスペーサーを挿入するタスペーサー工法の2種類があり、現在はタスペーサー工法が主流となっています。

このページでは、縁切りやタスペーサーの必要性や作業内容、設置費用などについて説明いたします。

縁切りとは


縁切りとは、スレート屋根の塗り替え時に、屋根材と屋根材の重なり部分に設けられた隙間に塗料が入り込み隙間が塞がってしまうのを防ぐために、塗膜を切り離す作業のことを言います。

従来は、屋根一枚一枚にスクレーパーやカッターを差し込んで塗膜を切り離していましたが、最近ではタスペーサーを使って縁切りを行う方法が主流となっています。

縁切りの必要性


スレート屋根には、通気と水分を排出するために屋根材と屋根材の重なり部分に隙間が設けられています。

しかし、塗り替えをすることで屋根材と屋根材の間に塗料が入り込み関間が塞がった状態になってしまいますので、タスペーサーを設置して隙間を確保する必要があります。

塗料によって隙間が塞がってしまうと、雨水がうまく流れずに水が吸い上げられる「毛細管現象」という現象が起こり、屋根内部に雨水が逆流して雨水が溜まってしまう恐れがあります

屋根内部に雨水が溜まってしまうと、下地の木材が腐食したり、雨漏りの発生に繋がってしまいますので、タスペーサーを設置して屋根材の重なり部分に隙間を確保することが重要となります。

縁切りをしないケース


まだ1度も塗り替えをしていないスレート屋根の場合や屋根材の隙間が4mm以上ある場合には、隙間が十分に確保できているため、縁切りをする必要はありません。

また、屋根の勾配が5寸以上の急勾配な屋根では、水が屋根に溜まることなく下に排水されるため、この場合も縁切りの必要はありません。

その他、そもそも塗装の必要がない和瓦や、既に隙間ができるよう加工されている金属屋根の場合も縁切りの必要はありません。

タスペーサーとは

タスペーサーとは、株式会社セイムが開発したポリカーボネート製の縁切り用部品のことで、スレート瓦1枚に対して、2個ずつタスペーサーを挿入します。一般住宅の屋根に設置する場合には、約700~1,000個前後のタスペーサーを使用します。

タスペーサーの1㎡あたりの費用は、350~500円程度で、タスペーサーは屋根の下に挿入され、その後取りはずされることもないので、半永久的に使える耐久性があるとされていますが、一般的には耐用年数は約15年とされています。

タスペーサー工法は、従来の屋根一枚一枚にスクレーパーやカッターを使い塗膜を切り離す「縁切り工法」に比べ、手間が少なく屋根材を傷つけたり汚す心配がないため、現在の主流となっています。

タスペーサーの種類

株式会社セイムから2種類のタスペーサーが製造・販売されています。それぞれの特徴は以下の通りです。

タスペーサー01

2017年に発売された最新モデルです。特殊な形状により、通気性能やクッション性能、耐溶剤性などが向上し、水が上がってしまう毛細管現象を防ぎます。

タスペーサー02

通常の屋根補修に使われる汎用性の高い「タスペーサー」です。スレート瓦の状態が良いときに使用され、手で簡単に挿入することができます。

タスペーサーの設置方法

タスペーサーの設置手順は以下の通りです。

1.高圧洗浄

まずは、高圧洗浄をおこない表面についた汚れなどを落としていきます。

2.下地調整

屋根にひび割れや欠けがあった場合は、コーキングなどで補修をおこないます。割れが大きい場合は屋根材の差し替えをおこなう場合があります。

3.下塗り

シーラーなどの下塗り材で下塗りをおこないます。下塗りには、下地の強化や上塗り材との密着力を高める役割があります。

4.タスペーサー設置

下塗りが乾燥したらいよいよタスペーサーを挿入していきます。入れる箇所は、屋根材と屋根材が重なっている段差部分で、1枚の屋根材に2個のタスペーサーを15cm間隔で挿入します。

タスペーサーが挿入しにくい箇所には、「エスパッター」という工具を使って、タスペーサーを差し込みます。

5.中塗り・上塗り

上塗り材を使い中塗りと上塗りを行なって、作業は終了となります。

縁切り・タスペーサーの設置費用

タスペーサー工法の1㎡あたりの費用は、350~500円程度で、一般住宅では2~5万円が相場です。

また、現在あまりおこなわれることはありませんが、従来のカッターで行う縁切り工法の場合は、3~6万円程度が相場となります。

タスペーサー設置の流れ

まとめ

スレート屋根は他の屋根材と違い、塗り替えにより屋根材同士の隙間が塗料で塞がってしまうことによって、雨漏りの原因を作ってしまう可能性があるため、雨水の通る隙間を十分に確保できない場合には、縁切りをおこなう必要があります。

縁切りには、従来「縁切り工法」で屋根一枚一枚にスクレーパーやカッターを使い塗膜を切り離していましたが、現在はタスペーサーを挿入するタスペーサー工法が主流となっています。

もし、スレート瓦の塗り替えの見積もりに「縁切り」の工程が含まれていない場合には、なぜ縁切りが見積もりに含まれていないのか、事前に業者に確認しておきましょう。

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