
薪ストーブや石油ストーブなどを利用している住宅では、ストーブの出す有害物質を外に排出するために、煙突が設置されています。
ただ、煙突は屋根に設置されているため紫外線や雨風の影響を受けやすいため、定期的な点検と修理が欠かせません。このページでは、煙突のメンテナンスや修理方法について詳しく説明いたします。
煙突の役割とは
煙突には、「ドラフト」を発生させるという重要な役割があります。
空気は温められると軽くなって気圧が低い上へと登っていく性質があります。この下から上へと流れる空気の流れ(上昇気流)のことをドラフトと呼びます。
ドラフトが発生して下の空気が上に引っ張られることで、家の中の酸素がストーブ内に供給されて、燃焼効率を高めるという効果があります。
また、下から上へと空気が流れることによって、薪ストーブや石油ストーブから発生した煙やガスを屋外に安全に排出することもできます。
煙突の種類
煙突には、主に「シングル」と「断熱二重」、「中空二重」の3タイプがあります。それぞれの特徴は以下の通りです。
シングルタイプ
シングルタイプとは、ステンレスを筒状に丸めた煙突のことです。シングルタイプの煙突は、煙突の自重が軽く、導入費用が安価ではありますが、煙突自体が高温になり煙突の周辺まで暖かくなります。
また、断熱性にも劣るので外気の影響を受けやすいので、屋外に設置してしまうと温度差が発揮できず十分なドラフトを得ることができず、煤やタールなどが溜まりやすくもあります。
断熱二重タイプ
断熱二重タイプとは、外側の筒と内側の筒の間に断熱材が充填されている煙突のことです。
二重の筒の間に断熱材が充填されていることによって、外気温の影響を受けにくく、排煙の温度低下も少なくなるため、安定したドラフトが得られ、煤やタールなどの付着も押さえることができます。
現在は、保温性や断熱性に優れた断熱二重タイプの煙突が主流となっています。
中空二重タイプ
中空二重タイプとは、断熱二重タイプと同じ二重構造ではありますが、間に断熱材は使われておらず空気の層が確保された煙突のことです。
中空二重タイプは、主に室内で利用し壁との距離を近づけたい場合に使用します。主に断熱二重タイプと比べると温性などは劣りますが、シングルタイプに比べると安定したドラフトを得ることができます。
煙突から雨漏りする原因とメンテナンス方法
シーリングの劣化
煙突と屋根の境目には、雨水が入り込まないようシーリング材が充填されています。
しかし、経年劣化によってシーリング材の伸縮性が失われ固くなることで肉痩せや亀裂を起こし、それによってできた隙間から雨水が浸入してしまう場合があります。
シーリング材の寿命は10年程度となるため、煙突掃除や屋根塗装などにあわせて定期的な点検やメンテナンスを行う必要があります。
シーリングが劣化している場合には、既存のシーリングを撤去してから、耐火性や耐久性の高いシーリングを新たに補填します。
フラッシングの不具合
フラッシングとは、金属製の板で、煙突と屋根材の間に挟み込むことで雨水の侵入を防ぐ役割を果たしています。
しかし、施工不良や経年劣化などによって腐食が進行することによって、フラッシングに穴が開いて雨水が浸入してしまう場合があります。
表面の塗装の剥がれなど軽度な劣化の場合は、再塗装で表面を保護してメンテナンスを行いますが、劣化が深刻な場合は、フラッシングそのものを交換する必要があります。
煙突のひび割れや破損
台風や地震などの自然災害後は、煙突のひび割れや破損にも注意が必要です。
万が一、煙突の開口を雨水などから保護する役割を果たしている煙突キャップが強風によって外れてしまえば、屋根内部に雨水が浸入するだけではなく、通行人や建物に当たって重大なトラブルを引き起こしてしまう恐れもあります。
外部煙突がモルタルやコンクリート製の場合は、生じた亀裂が小さければシーリングを充填して補修をしますが、亀裂が大きい場合には、下地を整えて補修用のモルタルで亀裂を埋める必要があります。
外部煙突が鋼板製の場合、腐食で穴が開いてしまった場合には、新しい鋼材を溶接取り付けして補修を行います。
また、「以前修理したのに雨漏りが直らない」「再発した」という場合には、煙突と古い屋根材を撤去し、煙突が設置されていた部分に新たな下地や屋根材を葺いて塞ぐというのもひとつの方法です。
煙道火災について
煙道火災とは、煙突の内部に蓄積したタールに引火し、煙突の内部で猛烈な勢いで燃えてしまう現象のことで、煙突の内部の温度は1,000℃以上もの高熱になるとも言われています。
煙道火災を防ぐためには、日常のメンテナンスによる煙突内部の清掃が不可欠です。安全に薪ストーブや石油ストーブを利用するためにも、年に1回は、煙突の掃除や点検を行うようにしましょう。
火災保険を使って屋根の煙突を修理できる可能性があります
台風、強風、豪雨、大雪などの自然災害によって屋根の煙突が破損した場合には、火災保険を利用して修理できる可能性があります。
ただ、火災保険の申請は、被害を受けてから3年以内に行う必要があり、3年以上前の被害が原因で雨漏りが発生したといった場合には補償の対象外になってしまいます。
また、被害から時間が空きすぎると被害状況の確認が難しくなるため、保険の申請も通りにくくなりますので、できるだけ早めに保険会社に問い合わせをすることが重要です。
まとめ
煙突は屋根に穴をあけて設置するため、建物の中でも雨漏りが起こりやすい箇所と言えます
煙突の劣化を放置して雨漏りが発生してしまえば、木材の腐食や白アリ、カビの発生などの二次被害に繋がる恐れもあるので、定期的なメンテナンスと点検をしっかりと行うことが大切です。
万が一、台風、強風、豪雨、大雪などの自然災害によって煙突が破損した場合には、火災保険を利用して修理できる可能性もありますので、早めに加入している保険会社へ問い合わせをするようにしましょう。