
屋根の劣化を放置してしまうと建物自体にも大きく影響する恐れがありますので、屋根を安全な状態に保つためには、屋根の点検で問題を早期発見することが大切です。
近年、屋根の点検にドローンが活用されるようになったことで、簡易的に屋根点検を行うことができると多くの方にドローンを使った屋根点検が注目されるようになりました。
そこでこのページでは、屋根点検にドローンを導入するメリットやデメリット、ドローンを使った屋根点検の費用などについて説明いたします。
ドローンを使った屋根点検とは
ドローンを使った屋根点検とは、高解像度カメラを搭載したドローンで屋根の劣化状況などを確認する方法です。
これまでは、ハシゴや足場をかけて職人が実際に屋根の上にのぼり、目視や触診で屋根の状態を確認していましたが、急勾配な屋根など直接屋根にのぼることが難しい場合もあります。
このような場合にドローンを活用することで、職人の安全を確保しながらスムーズに点検を行うことができるようになりました。
屋根点検にドローンを導入するメリット
屋根が傷まない
屋根点検にドローンを導入することで、直接触れることなく点検を行うことが可能です。そのため、屋根の上に乗った重みで屋根を傷つけてしまうという心配がありません。
また、業者の中には、故意に屋根を破損させて、元から破損していたため修理が必要などと強引に高額な工事の契約を迫るような悪質な業者も存在します。
屋根点検にドローンを活用することは、このような悪徳業者からの被害を避けることにもつながります。
屋根の高さや形状を選ばず点検できる
ハシゴが届かない3階建ての建物や急勾配な屋根など点検が困難な建物の場合、足場を設置してから点検を行うのが一般的で、隣家との隙間が狭かったり、立地が悪く足場を設置するのも難しいという場合もあります。
そのような場合でも、ドローンであればハシゴや足場を必要としないため、屋根の高さや形状の制限を受けずに屋根点検を行うことが可能です。
また、本来足場が必要な建物の場合には、足場費用の削減にもなります。
安全性を確保できる
一般的な2階建ての住宅であれば屋根から地面までは6〜7m、1階屋根でも4〜5mもの高さがあり、高所での作業は非常に危険が伴います。
屋根点検にドローンを活用することで、操縦者は安全な地上から作業を行えるため、転落や落下による事故の危険性もほとんどありません。
調査時間を短縮できる
屋根の上にのぼって点検作業を行う場合は、ハシゴを準備して職人の安全を確保しながら屋根を傷つけないよう慎重に作業する必要があるため、点検に時間がかかってしまいます。
しかし、ドローンであればハシゴや足場の準備は不要で、空中から屋根を広範囲に映し出すことができるので、大幅に点検時間を短縮することが可能です。
依頼主とその場で屋根の状態が確認できる
ドローンで撮影された映像は、タブレット端末等ですぐに確認することができるため、業者と一緒に屋根の劣化状況をリアルタイムで確認することができます。
またドローンであれば、屋根を広範囲に映し出したり、破損個所などに寄った画像も鮮明に映し出すことできるので、お客様ご自身もどの部分が劣化しているのかより把握しやすいという点もメリットの一つと言えるでしょう。
屋根点検にドローンを導入するデメリット
悪天候では実施できない
雨や強風など悪天候の場合には、ドローンを安定して飛ばすことができないため、ドローンを使って屋根点検を行うことは出来ません。
また、国土交通省航空局の無人航空機飛行マニュアルでも5m/s以上の突風など安全に飛行させることができない不測の事態が発生した場合には、飛行を中止すべきと記載されています。
ただ、これはドローンによる屋根点検に限ったことではなく、従来通り屋根の上にのぼる点検方法でも、悪天候の場合には調査を行うことができない場合があります。
騒音がする
ドローンの飛行中は、モーターやプロペラが高速回転するため、騒音が発生してしまいます。室内にいる方であれば気にならない程度の音量ではありますが、場合によっては近隣から苦情が出てくる可能性もあり注意が必要です。
また、ドローンによる点検はまだ一般的ではないため、飛行しているドローン自体に警戒される方もいらっしゃいます。そのため、特に隣家との距離が近い場合には、騒音などのトラブルに発展しないよう配慮する必要があります。
操作する人やカメラの性能によっては正確に診断できない
屋根点検でドローンを活用する場合には、適切な距離を保ちながら撮影する必要があります。
基本的に、ドローンの操縦に資格は必要ありませんが、操縦士の技量によってうまく撮影することができなければ、屋根の状況を判断することは難しくなります。
また、使用しているカメラの性能によっても、映像の映り方が異なるため、業者にドローンを活用した屋根点検を依頼する際には、施工実績やどのようなカメラを使用しているのか事前に確認しておくといいでしょう。
触診による情報は得られない
屋根の上にのぼって屋根点検を行う場合には、目視だけではなく触診もしながら屋根の状態を確認します。
しかし、ドローンでの屋根点検では、触診を行うことはできないので、直接触ってみなければわからない程度の傷みや異常を正確に把握することが難しいというデメリットもあります。
法律などによる飛行の規制がある
ドローンの飛行には、「航空法」や「小型無人機等飛行禁止法」などの法律によって規制が設けられており、飛行場所によっては飛行許可が必要となる場合があります。
そのため、許可が得られない場合や飛行禁止区域では、ドローンを飛行させることはできません。
例えば、国会議事堂や原子力事業所などの周囲約300m以内の地域でのドローンの飛行は禁じられています。また、人口集中地域や空港周辺では、事前に許可を得なければいけません。
また、自治体の条例でドローンの飛行が禁止されている場合もあるので注意が必要です。
ドローンを使った屋根点検の費用相場
ドローンを使った屋根点検の費用は、業者によって異なりますが、外壁や屋根塗装業者が見積もりを作成するための現地調査でドローンを活用する場合は、無料のケースがほとんどです。
ただ、ドローン診断を専門とする業者に依頼する場合は、戸建住宅で5,000円〜30,000円程が相場となります。詳細な金額やサービス内容は業者によって異なるため、依頼する前に必ず業者に確認するようにしましょう。
業者の選び方
ドローンが屋根点検に活用されるようになって間もないため、業者によっては正しい知識を持ち合わせていなかったり、ドローンを悪用する業者もいるので注意が必要です。
そのため、業者を選ぶ際には、特に以下の3つのポイントに注意する必要があります。
業者のホームページをチェックする
業者を選ぶ際には、業者のホームページで会社情報や点検実績を確認することが大切です。
ドローンは、操縦士の技量によって対応できる範囲や精度に違いが出るため、事前に業者が対応できる範囲や点検実績を把握しておきましょう。
また、業者の公式ホームページだけではなく、SNSなどの口コミ評判も確認することも大事なポイントです。口コミの内容を確認することで、業者の仕事に対しての姿勢やお客様への対応などをある程度把握することができます。
有資格者が在籍しているか
ドローンによる屋根点検では、ドローンの操縦技術だけではなく、屋根修理や建築に対して豊富な知識や経験が必要になります。
そのため、資格を持ったスタッフが在籍しているかというのも、業者選びの重要なポイントです。絶対に資格が必要というわけではありませんが、屋根工事に関する資格を持っている業者のほうが信頼度は高いと言えるでしょう。
屋根工事には、瓦屋根工事や屋根塗装、屋根の葺き替え、カバー工法など様々ありますが、すべての屋根工事で推奨する資格としては以下のようなものがあります。
・建設業許可
・道路使用許可
・建築施工管理技士
・建築士
・足場の組立て等作業主任者
その他にも、瓦屋根工事技士や塗装技能士、建築板金など屋根工事では様々な資格が存在します。
資格所有者が多数在籍している業者であれば、専門知識を活用して屋根点検を行うことで、一般の業者では見つけられないような屋根の問題も発見して、的確に対処を行うことができるでしょう。
他社からも見積もりを取る
信頼できる業者を見つけるためには、事前に複数の業者で見積もりを行うことが大切です。
点検内容や金額などを複数の業者からの見積もりで比較することによって、業者が提案する見積もりが本当に適切な範囲なのか見極めることができますし、考える時間を取るだけでも冷静に判断することができます。
また、業者とは屋根点検だけではなく、点検後の修理やアフターフォローなどで関わることになるため、業者の人柄や対応の良さなどもチェックしておくと安心です。
まとめ
屋根点検にドローンを活用することで、安全を確保しながらスムーズに点検を行うことができるので、屋根材の破損や転落事故などのリスクを大幅に軽減することができます。
さらに、依頼主もその場で職人と一緒に映像を確認できるので、業者側だけではなくお客様にとってもメリットは大きいと言えます。
ただ、ドローンの飛ばすための法的制限もあるため、事前にドローンが使用できるエリアなのか確認をする必要があります。
また、メリットだけではなく、騒音や触診ができない、操縦技術によって左右されるなどのデメリットもあるので、近隣の方に配慮しながら、特徴をよく理解して利用することが大切です。