
屋根修理や住宅のリフォームでは、大掛かりなものになると40万円〜200万円と高額な費用が必要となりますが、国や自治体から助成金・補助金制度を利用することで、自己負担を大幅に抑えてリフォーム工事を行うことができます。
ただし、助成金・補助金制度の利用には条件があるため、どんな屋根工事にも適用される訳ではありませんので注意が必要です。
このページでは、自治体で行われている補助金・助成金制度の概要や条件、申請の流れなどについて説明いたします。
補助金・助成金とは
補助金や助成金とは、国や地方公共団体などが資金の一部を給付してくれる制度です。受け取ったお金に関しては、どちらも返済の必要はありません。
補助金と助成金には以下のような違いがあります。
また、補助金や助成金の実施の有無や金額、申込期限などは制度によって異なりますので、詳しくは各自治体のホームページなどをご確認下さい。
補助金
主に経済産業省や地方自治体が管轄しているものを指すことが多く、国や自治体が政策や事業の促進などを目的として実施される制度です。
予算によって上限が決められていることが多く、給付される数よりも多くの応募があるため、受け取るには審査や抽選が必要となります。
また、先着順で期日よりも前に締め切られることも多く、申請をしても必ず通るという訳ではありませんので注意が必要です。
助成金
主に厚生労働省が管轄しているものを指すことが多く、助成金の多くが「雇用や環境労働」に関することを目的として実施されます。助成金の場合は、条件さえ満たしていれば、ほぼ問題なく受ける事ができます。
屋根修理が対象となる補助金・助成金の種類
屋根修理に利用することができる補助金や助成金の種類は、主に以下の3つです。
対象となるリフォーム工事としては、「屋根の葺き替え工事」「屋根の断熱工事」「屋根のカバー工事」「屋根の遮熱(断熱)塗装工事」の4つです。
長期優良住宅へのリフォーム
国が実施している補助金制度としては、「長期優良化リフォーム推進事業制度」というものがあります。
この制度は、既存住宅の長寿命化や省エネ化など住宅の性能を向上させるリフォームや子育て世帯向けの改修を支援する制度で、屋根の軽量化や屋根補修なども補助金支給の対象となっています。
省エネに関するリフォーム
環境への配慮や断熱改修による住宅の省エネ促進を目的として、各自治体で補助金や助成金制度が実施されています。対象となる工事としては以下のようなものが該当します。
・太陽光パネルの設置
・遮熱塗料を使用した塗装
・アスベストを含んだ屋根材の撤去
・屋根に断熱材を入れる
また、省エネリフォームでは、以下のような条件がついている場合が多いです。
・指定部材を使用すること
・明度が60以上の塗料を使用すること
・塗料の日射反射率が60%以上かつ明度が60以上であること
・最低工事金額
・建築後の経過年数
・工事完了後から一定期間居住すること
耐震化に関するリフォーム
耐震性の向上を目的として、各自治体で補助金や助成金制度が実施されています。この制度では、屋根の軽量化や屋根の葺き替え工事などが対象となります。
また、耐震化リフォームでは実際の改修工事の他に、「診断」「補強工事」「工事監理」にかかる費用に対しても利用できる場合がほとんどです。
ただし、耐震リフォームでは、以下のような条件がついている場合が多いので注意が必要です。
・地上3階建て以下でかつ木造部分が2階以下の住宅
・工事後の判定値が1.0以上になる
・旧耐震基準(昭和56年5月31日以前)を元に着工した建物
補助金・助成金制度の探し方
自治体や時期によっては、屋根修理を対象とした制度が募集されていない場合もありますので、修理やリフォームを行う際には、必ずご自身が行う工事が補助金や助成金の条件に合っているかチェックしましょう。
補助金や助成金制度の探し方としては、「各自治体のホームページを確認する方法」と「助金・助成金情報をまとめたサイトから検索する方法」の2通りがあります。
各自治体のホームページを確認する方法
補助金や助成金制度が実施されている場合には、各自治体のホームページに詳細が掲載されています。インターネットで調べる場合には「小平市 屋根 補助金」などと検索するといいでしょう。
補助金・助成金情報をまとめたサイトから検索する方法
「一般社団法人 住宅リフォーム推進協議会」が運営している検索サイトを利用することで、各自治体が実施している住宅リフォーム支援制度を検索することも可能です。
「地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト」
https://www.j-reform.com/reform-support/
こちらのサイトでは、希望の市区町村や支援方法などを選択するだけで、お住いの自治体で実施されている支援制度を検索することができます。
もし、耐震化で検索して該当する制度がなかったとしても、市区町村だけ選び大雑把に検索をかけることで、その自治体が実施しているリフォームに関する助成制度の全一覧が表示されますので、その中で屋根修理に関する制度が見つかる場合もあります。
ただ、サイトに掲載されている情報は更新されていない可能性もあります。そのため、最新情報を知りたい場合は各自治体のホームページを確認したり担当部署に直接問い合わせするしか方法はありません。
補助金・助成金を受けられる条件
補助金や助成金を受給するためには、制度ごとに設けられた条件をクリアする必要があります。支給条件には以下のような条件が掲げられています。
制度の目的に沿った工事である
補助金や助成金を利用する場合は、工事内容が省エネリフォームや耐震化リフォームなど制度の目的に沿った工事であることが大前提です。
条件の詳細は、各自治体のホームページに掲載されていますので確認をしましょう。
工事が始まる前に申請している
補助金や助成金の申請には、事前に劣化箇所を撮影した施工前の写真が必要となります。その理由としては、リフォーム前の状態を自治体に提出することで、工事が支援制度に沿った内容であるか確認するためです。
そのため、工事が始まってしまえば、申請することができなくなります。そのうえ、制度によっては工事完工の時期も決められている場合があるので、その点も確認しておく必要があります。
税金を滞納していない
税金の滞納や未納がある場合には、支援制度を利用することはできません。補助金や助成金は、税金によって支払われるため、申請者本人に市民税や住民税の未納や滞納がないことが最低限の条件となります。
自治体によっては、未納時期や期間、金額に応じて申請が可能な場合もありますので、未納や滞納がある方は、まず自治体へ直接確認し状況を改善してから申請しましょう。
指定された業者に依頼する
支援制度によっては、施工業者が指定されている場合があります。内容としては、市の登録業者やその市に事務所を持っている業者などと条件が提示されています。
そのため、支援制度を利用する場合には、業者探しの段階から申請条件について確認しておくことが重要です。
居住目的の建物である
屋根修理で支援制度を利用するためには、居住目的の建物であることが条件となっています。店舗や収益物件、事務所のリフォームは適用対象外となりますので注意が必要です。
もし、現在は住んでいない建物であっても、これから居住を予定している場合には対象となるケースもあります。
暴力団との関わりが無い人
屋根修理に限らず、暴力団との関わりがある方は支援制度を利用することはできません。
補助金・助成金を受け取るまでの流れと注意点
補助金や助成金制度の申請方法や、受給するまでの流れは以下の通りとなります。
1.申請条件・必要書類を確認する
まずは利用できる支援制度を調べることから始めましょう。
前述で紹介した条件の他に、治体によって様々な条件が設けられているので、事前に各自治体のホームページを確認しておくことが重要です。
2.業者に見積もりを依頼して現地調査を行う
利用できる支援制度が見つかったら、次は業者探しです。業者へ見積依頼をし、現地調査を行いましょう。この時、見積もりを依頼した業者に補助金や助成金制度を利用することを伝えておくと、書類の準備や手続きがスムーズに行えます。
また、申請には施工前の写真が必要となりますので、現地調査の際に必ず屋根の状態を撮影してもらいましょう。
3.申請の手続き
見積書や施工前の写真など必要書類が揃ったら、自治体へ申請の手続きを行います。申請方法としては、「直接窓口に持って行く方法」や「郵送する」方法があります。
必要書類については、以下のような書類が必要となります。申込に必要な書類は、各自治体のホームページからダウンロードしたり、自治体へ連絡し郵送で自宅まで届けてもらいましょう。
・申込書
・工事の見積書
・施工前の写真
・見取り図
・住民票
・登記事項証明書など建物の所有状況がわかる書類
自治体の支援制度によって、申請期限や予算などが決められている場合があり、予算に達してしまうと募集が打ち切りとなってしまう場合もあります。そのため、準備が整ったら早めに申請を行うようにしましょう。
4.自治体による審査
自治体によって、提出した書類を基に審査が行われます。
5.工事開始~完工
審査によって交付が決定したら、業者と契約し工事を始めます。絶対に審査が通ってから工事を開始し、工事代金を支払うようにしましょう。申請をしたからといって、絶対に審査に通るというわけではありません。
もし、交付決定前に工事を始めて業者に工事代金を支払ってしまうと、審査が通らなかった際に全額自費で工事をすることになってしまいます。さらには、工事開始前に工事代金の支払いを請求し、お金だけ持ち逃げして工事をしない悪徳業者も存在しますのでご注意ください。
6.施工業者に工事代金を支払う
工事が完了したら、業者へ工事代金を支払います。
補助金や助成金が支給されてから業者へ渡すと思われている方も多いですが、まずはお客様自身で工事代金を業者へ支払う必要がありますので、工事代金を事前に用意しておかなければなりません。
7.自治体に工事完了報告書を提出する
工事が完了したら、自治体に工事完了を示す工事完了報告書を提出します。この時必要な書類は、各自治体によって雛形が用意されていることもあります。
必要書類としては、以下のようなものが該当します。
・工事完了報告書
・施工業者に支払いした時に貰う領収書
・自治体に補助金・助成金を請求する為の請求書
8.自治体による審査
書類提出後、不備が無いか確認された後、自治体による審査が行われます。審査内容としては、自治体の調査員が申請通りに工事が実施されているかを確認します。
9.補助金・助成金の受け取り
審査を通過したら補助金や助成金が支給されます。ただし、実際に支給されたお金が振り込まれるタイミングは、状況確認から1〜2か月程度後になります。
まとめ
屋根修理や住宅のリフォームでは、多くの費用が必要となりますが、国や自治体から助成金・補助金制度を利用することで、工事内容を変更しなくても、自己負担を大幅に抑えることができる場合があります。
ただ、実施状況は各自治体によって異なりますので、自治体のホームページや補助金・助成金情報をまとめたサイトを確認するようにしましょう。
また、補助金や助成金を利用した詐欺も横行しているため、工事の着工は必ず申請が通ってから行うようにしましょう。